Gypsophila(カスミ草)~フラれ女子番外編
「叔父様、ちょっといいですか?」
「…………」
朝食を終えた後、しばらくしてからぼくは叔父の部屋を訪ねた。
8月の末にもなればもう新学期は始まっているから、3年に上がったぼくたちが学ぶ内容も少しずつ難易度が上がってきた。
基本的に、ぼくは勉強が嫌いだ。だって、面倒くさいだろ?
必要だからやっているだけ。将来を見据えれば、学べる時にしっかり学び自分の物にする。公爵家に相応しい人間に見られなきゃいけないし、学んだ時間を無駄としないために。
そんなポンコツなぼくだけど、有難い事におつむの出来は悪くないらしく、考査では常に学年上位をキープ出来てる。
ぼくが通うグルンデシューレでは、成績優秀なものに特別課題が出される時がある。ギムナジウム進学のための予習みたいなものだ。
ただ、その内容は時に難しい。
ちょうどぼくには昨夜悩んだ課題があり、それを手に叔父を訪ねた訳だ。
叔父が滞在中の部屋はずいぶんこじんまりとした造りの小部屋。メイドの控え室とそうかわりない。日本の家屋だと3畳間くらいだろうか。
ベッドとクローゼットと物書きの机と小さなテーブル……必要最低限の物しか置かれてない。
ぼくをめんどくさそうに見た叔父に、ニッコリ笑って テキストを見せた。
「明人叔父様は大学を出られたんですよね?ボクもギムナジウムを目指してますが、課題で行き詰まってしまって……ちょっと教えていただいても?」