Gypsophila(カスミ草)~フラれ女子番外編

この2年でアーベルはかなり交遊範囲を広げていて、友達も多い。面倒くさい、と浅く広くしか付き合って来なかったぼくとは大違いだ。
まあ、ぼくが人付きあいが苦手なのもあるけどね。

(う~ん……アーベルなら信頼していいと思うのだけど……)

グルンデシューレ3年になった今、アーベル公爵家で表だってぼくら親子をいじめてくる連中は、お父様によりクビになっていた。
陰でこそこそ意地悪するみみっちい奴らは、逆にぼくがそれを利用し意地悪しかえしたりと楽しんでいたら、いつの間にか居なくなった。根性なしめ。

それにより公爵家で働くスタッフが入れ替わり、自然とお母様の組織の拠点化(ベース)が完成した。
愛妻家のお父様が人事は妻の言いなりだったせいでもあるけど……公爵家の当主が、いいのかそれて?と子どもながら色々と心配になる。

というわけで、今のアーベル公爵家ではお母様は正妻として。ぼくは嫡子としてまともに扱われてしまってつまらない。
そりゃあ、以前より遥かに待遇はよくなりスタッフはみな笑顔で接してくれるし、居心地はいい。
だが、だからといって親しくなれるかは別だ。

表面的には忠実に仕えてくれてるし、誠心誠意心を込めているには違いない。
けれども、ぼくにはやはりどこか一線を引かれているような。距離を取られている印象が拭えないんだよね。

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