Gypsophila(カスミ草)~フラれ女子番外編

まあ、妄想はともかく。
アーベルが“叔父さんに会わせて欲しい”と言うから、早速翌日朝食の席でお母様に伝えてみた。

「お母様、今日夕食に友人を招待したいのですが。よろしいでしょうか?」
「グルンデシューレのお友達……でしたね?
昨夜ずいぶんお世話になったようですし、いいでしょう。執事のグスタフに申し付けておくわね」

お母様はあっさりと許可を下さったから、なんだか拍子抜けした。ただ、やはりお母様には何もかもお見通しのようで、フフッと笑われてしまった。

「そうね……昨日は色々と楽しかったようね。気の合う友人はなかなか得難いもの。大切になさいよ、カール」
「はい、お母様」

ここまでは、ごく普通の親子の会話だろう。けれども、僕たちは所詮普通の親子ではなくて。

「カール、あなたが国政だの爵位だのに口だすのはまだ少し早いのではないかしら?せめて、ギムナジウムを卒業してからね」

にっこり、と素晴らしい笑顔でチクリと言われて。やはり昨夜は周囲に誰もいないように見えても、オーベン公爵家の密偵があちこちいた様子。同時にぼくのボディガードも兼ねてるらしいけどね。密談はやっぱりすぐには無理だと降参するしかなかった。

「……はい」

とはいえ、それはあくまで表向き。素直に従うもんか。

「カール、余計なことは考えず、今は勉強と交遊関係を広げることに専念しなさい」
とお母様には釘を刺されたけどね。

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