Gypsophila(カスミ草)~フラれ女子番外編
“叔父さんが女王陛下について知りたい理由を教えてください”
ぼくはストレートに訊ねた。
これで色々とぼくたちの実情が叔父さんにバレるかもしれないけど、構うもんか。ぼくたちの事より、女王陛下のことだ。
ぼくの中では、最大級の警戒感が頭をもたげている。叔父さんは女王陛下に危害を加える人間だ、と。本能的に悟ってしまったんだ。
ぼくの質問は、叔父さんへの牽制と問いかけ。
質問の意図と目的を明らかにして欲しい、そして。女王へ悪い事をするなら何も教えないし、むしろ妨害するとの宣言。
緊張感に満ちたぼくの雰囲気と覚悟を理解したのか、叔父さんは一度頷くと予想外の言葉を継ぎ足した。
“おまえたちの態度で、女王が偽善者でないのは理解した”
(え、これだけでわかったの?)
“ぼくたちのですか?”
うん、とまた叔父さんは大きく頷いた。
“子どもだろうと、おまえたちは愚かでない。女王が偽っていれば看破できるだろう。
そのおまえたちが護るというなら、人間的に信頼できるものだと判断した”
叔父さんからは意外な誉め言葉と女王陛下に対する高い評価に、なんだか胸の辺りがむず痒く感じて照れくさい。
“ありがとうございます”
ぼんやしたぼくに代わり、アーベルがさっさと返礼をした上で核心に切り込んだ質問をした。
“あなたの本当の役割は?”
ーーいくら子どもでもストレート過ぎだろ、それは。