Gypsophila(カスミ草)~フラれ女子番外編
お母様は勘づいてる、と直感的に悟った。
ただ、周りに聞かせないよう配慮してくれている。
お母様に正直な気持ちを打ち明け、協力や理解を求めるべきなのか。それとも、知らぬ顔で惚けるべきか。
(叔父さんは知られたくないみたいだった……けど、やっぱり。一人で対応するのに無理があるよ)
ぼくとアーベルの協力は得られたにせよ、結局8歳の子どもができることはたかが知れてる。もっと大勢……例えばグルンデシューレの級友全員ならまだやりようがあるけれど、現実には無理だ。いくら口止めしようと喋るやつは絶対現れるし、理想通りに動けるとは思えない。
(なら……やっぱりお母様の協力を得た方が。叔父さんの妹だし、ぼくの母親だし)
お母様は女王陛下に対してネガティブな発言をしたことはない。いくら他の貴族が女王陛下の悪口を並べ立てても、同調さえしなかったんだ。
もしかしたら、2年前とは違う決断をするのかもしれない。ぼくは、それに賭けてみることにした。
「……お母様、ぼくの学校で今度王宮見学が行われるそうです」
「そう……将来あなたが働くかもしれない場所ですから、しっかり見てよく理解しておきなさいね」
ここまでは当たり障りのない、ごく普通の親子の会話だったけど。ぼくはあえて一歩踏み込んでみた。
「はい……女王陛下にはお会いできるでしょうかね?」