Gypsophila(カスミ草)~フラれ女子番外編
翌朝、珍しく朝からお父様がいらして、ダイニングルームで一緒に朝食を取ることができた。
お父様は鳶色の髪とグリーンの瞳を持ち、容姿端麗でかなり若々しい外見をしている。生粋の貴族で王族の血も引くから、気品も優雅さも兼ね備えている。
女性の扱いもスマートで若い頃から色恋沙汰は絶えなかったらしい。
そこで悪いことを色々してたみたいだけど……(息子ながら女たらしだと思った)
まあ、お母様にベタぼれしてから改心したんだけどね。
お父様は今日も朝からお母様へむず痒くなるような、愛の言葉を囁いていちゃついてる。
兄弟が1ダースもできないのが不思議なくらいの溺愛っぷりだ。
結婚し10年も経つのに恋人になりたてのような熱さは大いに結構。
ともあれ、いつまでも熱々ぶりを白目で眺めている訳にもいかない。グルンデシューレに遅刻するつもりはないのだ。
そこで、ぼくは思いきってお父様にお願いをした。
『お父様、お願いがあります』
『ほう、カールからとは珍しいな。言ってみなさい』
今まで、ぼくは滅多にお願いやおねだりをしたことがない。幼い頃から子どもらしいわがままも我慢してきた。クリスマスや誕生日でさえ、プレゼントをねだったことはない。
そんなぼくが改めて“お願い”をするのだ。お父様の興味を引くのは当たり前だった。
『……従妹のマリアを養子に迎えてください。そして、彼女をオーベン公爵家の後継者に』