Gypsophila(カスミ草)~フラれ女子番外編
自分が浮かれているとはわかったけれど、それでも今はほのぼのとしている場合じゃない。
叔父さんの暴走を止めなければ、と思い直した。
『叔父さん、女王陛下をもっと労って差し上げてくださいよ。陛下がどれだけ冷遇されていたか……はあの離宮を見ればわかったはずです。まだ15のか弱い女性にぶつける言葉ではありません!』
『甘やかせば解決するのか?』
叔父さんはすぐにそう切り返してきた。
『どこまでも優しくしてやれ、真綿にくるむように。砂糖を溶かしたようにどろどろに溶けるまで甘くしろ、と。必要があるならそうしてやる』
だがな、と叔父さんの紅い瞳は一切の温かみがないままに言い放つ。
『生きたいなら、独りで……自分の足で立て。いつまでも親の幻影にすがるな。すがることばかりに慣れてしまえば、いざと言うときに共倒れになるだけだ。
アンタの命さえ虫ケラ扱いするやつらに、家族の情や絆を期待するだけ無駄だ』
全く……ぼくの話を聞いてないよね、叔父さんは!
遠慮も何もなく女王陛下に辛辣な言葉をぶつける叔父さんに、もうダメだと諦めの境地に至るのはすぐだった。
(もう……!ボクが馬鹿だったよ。あんな提案するんじゃなかった)
叔父さんを部屋から出そうと色々努力してはみたけど、押しても引いても駄目でまさにテコでも動かない感じ。
女王陛下はさらに顔を青ざめさせていたけど……瞳に涙をためながら、キッと叔父さんを見返した。
『……勝手なことをおっしゃらないで!あなたに……何がわかると言うのです!?』