Gypsophila(カスミ草)~フラれ女子番外編

『……どんな方たちだろうと、わたくしのお母様と弟たちです。わたくしが女王としてしっかりすれば、いつか家族と認めてくださるはずよ!きっと……わたくしが力不足で馬鹿だから。何もかも、わたくしがいけないの!』
『生まれた時から罪人呼ばわりでも、か?』

叔父さんは女王陛下の言葉をすぐに斬って捨てた。

『……アンタの母親は、アンタが生まれた時にすら、気味悪がってその腕に抱かなかった。顔をろくに見ずに、一切の世話を他人に丸投げ。乳飲み子の時からろくに日の差さない部屋に放置されて……微量だが様々な毒を与えられてきた。アンタの母親は“早くアレ(姉・ミルコ)が死ねばこの子(弟・ゲオルグ)が王位につけるのに!まだ死なないなんて忌々しい!!”と周りに言ってはばからない……こんな状況でまだ信じたいのか?』
『……ッ』

女王陛下が直視したくない厳しい現実を、叔父さんは容赦なく暴いていく。聞けば聞くほど、ぼくも一緒に腹立たしくなる。

『……なら、わたくしはどうすれば……どうすればいいと言うの!わたくしには、お母様と弟しかいないのよ……二人に家族と認められないわたくしは……どうすればいいと言うのです!?』

ぽろり、と女王陛下の瞳から大粒の涙が流れた。

『わたくしには、誰もいない!わたくしを認める人も、わたくしを必要としてくれる人も、わたくしを愛してくれる人も……欲しがって、何が悪いと言うのです!?努力せず最初から何もかも持っている恵まれた人に、何がわかると言うのです!!』



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