Gypsophila(カスミ草)~フラれ女子番外編
『なら、オレがそばにいてやる』
なんの迷いもなく、叔父さんは言い切った。
『言ったはずだ。アンタの命を預かる、と。アンタが生きるための努力をしてもどうにもならないなら、殺してやる……ともな』
全く、男女の甘い雰囲気など欠片もない。生きるだの殺すだの、重くて物騒過ぎる言葉が飛び交ってるけど。
しばらく呆然と叔父さんを見つめていた女王陛下は、数度瞬きを繰り返しごしごしと手のひらで目元の涙をぬぐい、一大決心をしたような強い目で叔父さんを見返した。
『……な、なら……ば……それを、その言葉を証明できますか?』
『アンタが望むなら、何でもしてやる』
叔父さんはいつもの鉄面皮で無表情過ぎだけど……なんだろう?子どものぼくでさえわかる。何だか、全く揺らがないどっしりした強さを感じる。
だから、だろう。女王陛下があんな望みを叔父さんにしたのは。
『ならば……わたくしの家族になってください。一生、わたくしのそばに……』
『ああ。アンタが望むなら』
『……け、結婚も……ほ、本当なのですか?』
恐る恐る、女王陛下は叔父さんに訊ねたけれど。叔父さんは無表情のまま(少しは笑いなよ!)、ああ、とぶっきらぼうに返した。
『オレが、アンタを護ってやる。生き抜こうとする限り、オレはアンタのものだ。アンタの命もオレがもらう』
そう言った叔父さんはーー女王陛下をいきなり抱きしめた。
そして、驚いた女王陛下の顔に自分の顔を近づけ……って!おおい、ここに子どもいるんですけど。あと10年は早いんですけど!!な展開になりそうだったから、早々に退散したぼく。気を使いすぎでしょう?
けど、昼間からいきなりおっぱじめることか!?
なぜか痛む胸を押さえながら、内心で叔父さんに文句を言っておいた。