Gypsophila(カスミ草)~フラれ女子番外編
……全く、叔父さんには呆れる。
言ってることとやってることが、むちゃくちゃだよ。
でも、それが女王陛下には合っていたみたいだ。
以前にも増して、目に見えて心身ともに回復されてきたんだからね。
お世辞にも仲睦まじい恋人とは言えないけど、何て言うか……二人にしかわからない空気とか。子どもには言い表しにくい絆を感じるようになってきたんだ。
だからって! 毎晩毎晩ご熱心なのはやめて欲しい。大人の時間はガキには刺激が強いから、一度その声を聞いたマリアが、“女王陛下が苦しんでる!”と医者を呼ぼうとして大騒ぎになったんだからさ……。
ぼくはうっすら理解はしてたけれど、いくら聡明とはいえ6歳児にどう説明しろと。頭を抱えたくなった。好奇心旺盛なマリアは、中途半端な説明じゃ納得してくれなかったからね。
(叔父さんのバカ!もっと控えてよ!!)
やがて、王宮からも様子を窺うための使者が来て、女王陛下のお世話をする女官を派遣する旨を告げられたけれど。女王陛下がきっぱりと断り、追い返したのが意外だった。
その時、女王陛下が“わたくしには愛する人ができました”と、その女官に言い切ったけれど。それは、実質的に母親に対する反抗。
今まで唯々諾々となすがまま、されるがままだった彼女が。初めて自分の意思で足を踏み出すことを選んだ瞬間だった。