Gypsophila(カスミ草)~フラれ女子番外編
最初見た時は10歳くらいに見えた。
ゲルマン系の女性は彫りの深い顔だちだし、大人びた体格の子どもも多いが、不自然なまでに小柄で。着てるものは上質なオフホワイトのワンピースだが、着られていると言っていい。
ただ、淡いコーディネートと太陽の光を背にしたからだろう。草むらにあお向けで倒れたぼくの目には、キラキラ輝いて妖精のように見えた……(のは内緒だ)。
ぺちん、と頬っぺたを軽く叩かれて。
『ぼく、大丈夫?』
なんて訊かれて。はっと現実に戻れば、すぐに謝罪しなくては!と慌てて立ち上がろうとして……
ガツン!と相手のあごに、思いっきり頭突きをかましてしまった……のです。
『ごめんなさい……』
『……いい……大丈夫……』
『ぷっ……』
『あ、何を笑ってるのよ!失礼ね』
『だって……お姉ちゃんあごが真っ赤だよ』
『キミだって立派なたんこぶできてるじゃない!……ふふっ』
『あはは!』
お互いに仲よく痛がって、けど何だか可笑しくなってぼくが吹き出したら。彼女も小さいけど笑って。しばらく経った後。
名前も知らなかったはずのその女の子が、いつの間にか冷たく冷やしたハンカチをぼくの頭に載せてくれた。
『はい、しばらくこれで冷やして』
『……ありがとう』
その女の子はぼくを膝にのせてひざ枕をしてくれて。しばらく静かな時間が流れたけど、ぽつりと彼女がこぼした。
『……キミみたいな子が弟だったら、良かったのにな』