Gypsophila(カスミ草)~フラれ女子番外編

やがてお姿を現した女王陛下は、今日は淡い水色のワンピースを身に付けてらして。あずま屋に行くと、ぼくが生けておいた花を見つけてほころぶような笑顔を見せた……んだけど。
心臓が、ばっくんと弾んだのはなんだろう?カアッと頭から全身が熱くなり、脈が早くなる。


(なんだろう……女王陛下のお姿でドキドキする……)

どきまぎしながらも、体の不調を悟られまいと平静を装い仕事をこなした。 けど、女王陛下の一挙一動やお声で、すぐに症状がおかしくなる。ずっと見ていたいのに、叔父さんといる光景を見ると……胸の辺りがムカムカする。逃げたくなる。

(おかしい……循環器と胃腸に異常があるのか?)

こんな症状は初めての経験だから、なんの病気かさっぱり見当がつかない。二人が仲睦まじいのは喜ぶべきなのに、陛下にキスした叔父さんを殴りたいと思うとか……精神的不調も入ってないか?

(思ったより重症かもしれない……)

部屋に医学書はあっただろうか? 医者に相談するには怖い。未知の病気かもしれないし。

学校で悩みに悩んで……様子がおかしいと気付かれたアーベルに洗いざらい告白させられた。

……で。呆れたようなため息は、何なんだ?親友よ。

「……本当に、自分の状態がわからないの?」
「まあね……今まで勉強した中では甲状腺機能亢進症が一番近いと思うけど」

ぼくが真面目な顔で答えると、アーベルは眉間に指を当てて盛大なため息をつく。

「……あのね、この際だからハッキリと言うけど。君、女王陛下を好きになってるんだよ」
「…………」

何を言われてるのかわからず、全てフリーズした。



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