Gypsophila(カスミ草)~フラれ女子番外編
「……そんなバカな……ボクが……女王陛下になんて……」
「君が女王陛下をずっと好きだったの、すっごくバレバレだったんだけど」
めちくちゃ悩んだのに、アーベルにバッサリとそれを斬られたよ。
「……え、ボク……そんなにあからさまだったの?」
「うん、すっごく解りやすかった。女王陛下に関してだけは熱心だったし、第一陛下を護るために将来決めたんでしょ?公爵家の跡継ぎの地位を放棄したのも、そのための布石としか思えなかったし。それに、君。女王陛下を見るときの目……すごく優しくなってるよ。あと、女王陛下をお助けした時の怒りようときたら……」
ここ数年来の友達なだけあり、アーベルに次々と掘り起こされたぼくの黒歴史と言えそうな、恥ずかしいエピソードまで語られて……やめて!もうぼくのLIFEはゼロよ……なんて言えるはずもなく。
「……いい。もうわかった」
講義室の机に突っ伏すと、アーベルがフッと笑ったようだった。
「いいんじゃないか?初恋のひとつくらい、しておいた方が。いい経験になるよ」
「……んなこと言って。絶対叶うわけないの、わかりきってるじゃないさ」
「なに、最初から諦めてるの?悲観的過ぎない?」
悲観的でも何でも、事実だよ。
女王陛下が叔父さんと相思相愛なの、誰が見たってわかるレベルだし。陛下も恋人だって宣言してるもんね。議会が認めないから公的に婚約者扱いはされてないけど……。
「……叔父さんとの仲を割きたくないし」
ポロッと口にした本音に、アーベルは食いついてきた。
「そうか、君はそれくらい影響があると自分を分析してる……ならさ」
そして、笑顔でとんでもないことをのたまった。
「いっそのこと、女王陛下に告白してきなよ」