π to Σ

(6)

終礼後、亮太先生が私を呼んだ。



「なに?」



ほとんどの先生が部活をみている二年生の職員室は、ガランとしていた。






先生は今日も、ポロシャツを着ている。

他の先生はスーツでしっかりきめているのに。

でも、ちょっとセンスの足りないその格好が、不思議と私を安心させる。





「スカート? 髪の毛? それとも化粧?」





今日は数学の授業がなかったから、

本当は会えて嬉しいくせに、

ついつい口が、勝手に動く。





「おまえなぁ~」





挑戦的に見下ろす私に、亮太先生は笑みをこぼした。





「全部だよ、全部。いつになったら俺のいうこと聞いてくれるわけ?」





先生の声が好き。




先生の笑う顔が、




好き。

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