π to Σ
(10)
グッチは毎日学校に来ていた。
彼女の香苗に、浮気されていたにも関わらず。
「グッチえらいよねぇ」
夏はとうに過ぎたのに、またファンデの色を黒くした直実が、私に向かってつぶやいた。
「だねぇ」
「にしてもまさかあの香苗がね。
信じられないよ」
裏切られたグッチに気を使ったのだろう。
顔をよせて、小声でささやく。
本当はそんな話、私だって聞きたくなかった。
だけどそんなこと、誰かに言えるわけもない。
「だねぇ」
彼女の香苗に、浮気されていたにも関わらず。
「グッチえらいよねぇ」
夏はとうに過ぎたのに、またファンデの色を黒くした直実が、私に向かってつぶやいた。
「だねぇ」
「にしてもまさかあの香苗がね。
信じられないよ」
裏切られたグッチに気を使ったのだろう。
顔をよせて、小声でささやく。
本当はそんな話、私だって聞きたくなかった。
だけどそんなこと、誰かに言えるわけもない。
「だねぇ」