π to Σ

(11)

翔も寝てるし、グッチも寝てる。


子供がデキたかもとかいって、真理子は学校に来ていない。





放課後、教室でエッチしてんのがバレた香苗は、もうずっと停学になったまま。





黒板に書かれた数字も記号も、冴えない教師も全部無視して、



飽きずに誰かが噂してる。





「生徒に手ぇ出すなんてサイテー」


「犯罪だよ。死ねばいいのに」





誰も見てない数式が書き換えられていく。


途中の式を間違えていた教師は、誰も気にしてなんかいないのに、慌ててそれを消し去ろうとする。






数学は、亮太先生を思い出すからイヤだった。










私はひとり、宙に舞うチョークの粉を眺めていた。



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