雨は君に降り注ぐ
「うん、いいんじゃない?どんなスポーツがいいかな?」
「あ、それもね、考えてきたんだけど、」
テンションでも上がってきたのか、理子の声のボリュームが上がっていく。
「バスケサ~クルがいいと思う!」
「…え。まさか、その理由って、」
「当然、イケメンがいそう、だからだよ!」
この子は、どこまでも正直だ。
「イケメンの3王道と言えば、サッカ~、テニス、バスケでしょ?」
「何それ……、サッカーとかテニスじゃダメなの?」
「うち、サッカ~もテニスもやってたこと、あるから。」
相変わらず、理子らしい理由だ。
なんだか微笑ましい。
「ちょっと!今、くだらないって思ったでしょ?」
理子は、真剣に怒ったような声でそう言う。
その顔を見て、私は、ついに吹き出してしまった。
なんてかわいらしい。
理子はまだ、頬をふくらませたまま、こちらをにらんでいる。
…リスみたい、なんて言えない。
私はくすくす笑いながら言った。
「うんうん。いいんじゃない、バスケ。」
理子の顔色が、瞬時にぱっと明るくなる。
その切り替えの早さに、私はまた吹き出してしまった。
「いいの?」
「うん。」
「やったあ!じゃあ、今からなんだけど、いいかな?」
「………え。何が?」
「サ~クルの見学。そんな、急に『はい、コレ』って決めるわけにもいかないでしょ。まずは、サ~クルの雰囲気をしっかり見て、それからまた考えよっ!」
「待って。見学って…今日?!」
「そうだよ。ほら、早く行こっ。」
私は理子に、ほとんど強引に、バスケサークルの見学に連れていかれた。