雨は君に降り注ぐ

「大切な友人(・・)、じゃ、ないでしょ。」

 少し間を置いてから、理子が言った。

「うちら、今までも、これからも、ずっっと親友(・・)だよっ!」

 もう、泣くしかなかった。
 そんな私の背中を、理子が手をめいっぱいに伸ばしてなでる。

「あのね結希…実はうちも、結希に話があるんだ。」

 私が泣き止んだ頃を見はからって、理子が言う。

「何?」
「話って言うか、お願い、なんだけど…。」

 理子は、少し照れたように目をふせた。

「うち、この後、涼ちゃんにプレゼントを渡そうと思ってるんだけど、」
「プレゼント?」
「うん。今日、涼ちゃんの誕生日なんだ。」

 それだっ!

 私の頭の中で、パチリと、パズルのピースが合わさった時のような音がする。

 それだ。
 一ノ瀬先輩が、涼介先輩に会いに来た理由。

 涼介先輩の誕生日を、一言お祝いしに来ていたんだ。
 母親が亡くなった直後に一ノ瀬先輩を支えた、大切な人だったから…。

「その、好きな人にプレゼントを渡すって、うち初めてで、すっごく緊張するんだ。」

 分かる。
 私も、一ノ瀬先輩にプレゼントを渡すとき、ものすごく緊張した。

「だから結希に、隠れて見守っていてほしいんだ。」

 なんだ、そんな事か。

「全然いいよ。」
「本当っ?!」

 私がうなずくと、理子は、喜びを顔いっぱいに表した。

「どこで渡すの?」
「昨日の中庭。あんまり人に見られたくないから…。」
「いつ?」
「サークル活動終わったら、すぐ。」

 了解。

 私は、力強くうなずいた。
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