雨は君に降り注ぐ
私は、思わず叫びそうになった口を、慌てて押さえた。
嘘。
これって、もしかして。
いや、もしかしなくても、
告白。
私の、今まさに目の前で、親友が、告白した。
こんなの、私なんかが見てしまっていいのだろうか。
いいのか?
親友だし…。
告白。
これから、どうなる?
涼介先輩は、どう答える?
理子は、ほとんど半泣きだ。
涼介先輩は、理子のことを、優しい眼差しで見つめていた。
そして、ゆっくりと口を開く。
「僕なんかで…いいの?」
理子の目が、大きく見開かれる。
そしてその目から、大粒の涙がこぼれ落ちる。
「涼ちゃんじゃなきゃ、嫌だよ…。」
なんてことだ。
私の目の前で、新たなカップルが誕生してしまった。
しかも、超お似合いの。
…やっぱり、新川先輩の言っていたことは、噓だったんだ。
『斉藤くん、絶対、吉岡さんのことが好きだわよ。』
そんなわけ、なかった。
涼介先輩は、たった今、理子の告白に同意したんだから。
理子のことを、愛おしそうに見つめているんだから。
『斉藤くん、あなたを見るときだけ、目の色が違ったわよ。』
それは、きっと見間違い。
もしくは、新川先輩の勘違い。
理子は、涼介先輩のことが好き。
涼介先輩は、理子のことが好き。
それが全てだ。
「涼ちゃん、今度、デ~ト行かない?」
「いいよ。今からでも行く?」
ものすごいスピードで、話が進んでいく。
2人とも、積極的だなあ…。
「今からはちょっと…。明日はどう?」
「分かった。じゃあ、詳しいことは後で連絡するよ。」
「うんっ。」
2人は、お互いに見つめ合い、笑いあう。
…いいなあ、幸せそうで。