雨は君に降り注ぐ

 私は、白テーブルに置いてあった、茶色い封筒を手に取った。

 開けてはいけない。
 見てはいけない。
 絶対に後悔するから。

 そう思うのに、私は気づくと、乱暴に封をちぎっていた。

 予想通り、中には、手紙が入っていた。
 それと、写真が数枚。

 写真を手に取り、1枚1枚見る。
 私は息をのんだ。

 理子。
 理子が、写っていた。

 理子の写真だけではない。

 バスケのシュートを決める、工藤くんの写真。
 学食で会話をしている、私と理子の写真。
 後輩にバスケの指導をしている、涼介先輩の写真。

 それに、

 中庭のベンチに寝そべっている、…一ノ瀬先輩の、写真。

 次に、折りたたんであった手紙を開く。
 白い便せんに、見慣れたワープロ文字。


『なんでこんな奴らと一緒にいるわけ?

 結希は俺の物でしょ?

 いい加減認めろよ。』


 結希。

 ストーカーからの手紙に、初めて、私の名前が出てきた。

 やっぱりこの人、青葉大学の関係者か何かなんだ。
 そうでなければ、こんな写真は撮れない。

 私と親しい人だけの写真なんて、撮れるわけがない。


『P.S 通報はやめておいた方がいい。

     俺は君のこと、何でも知ってる。

     いつでも君を殺すことができるし、

     この写真の奴らを消すことだってできる。』


 私はそっと、スマホの電源を落とした。
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