雨は君に降り注ぐ
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「僕に話って、何?」
ここは、青葉大学のすぐ近くにある、かなり大きめな図書館の学習室。
私の目の前には、気の遠くなるほど長い数式と、資料やプリントの類が積み重なっている。
そして、対面には、涼介先輩。
「まさか本当に、勉強をするためだけに、僕を呼び出したわけじゃないでしょ?」
整いすぎている顔で、そう問いかけてくる。
涼介先輩には、何もかもお見通しみたいだ。
「はい、実は、」
「待った。」
涼介先輩が、手で私を制す。
「何の話か当ててあげる……一ノ瀬のことでしょ?」
「…お見事です。」
「はは、やっぱり?」
そう、一ノ瀬先輩の話。
私は昨夜、一ノ瀬先輩の過去を知りたいと、強く願った。
でも、一体どうすれば、過去を知ることができるのか。
とっさに頭に浮かんだのが、涼介先輩だった。
涼介先輩なら、一ノ瀬先輩とも親交があったし、彼の過去について、何か詳しく知っていることがあるかもしれない。
そう考え、こうして休日、日曜日に、涼介先輩を勉強会の口実を使って呼び出したわけである。
後から考えてみれば、いささか、理子に対して失礼だったかもしれない。
涼介先輩と理子は、付き合っている。
つまり、彼氏彼女の関係。
人の彼氏を、しかも親友の彼氏を勝手に呼び出して、図書館で2人きりで勉強会だなんて、常識はずれだろうか。
…まあ、呼び出してしまったものは仕方がない。
理子には、あとから謝っておこう。