雨は君に降り注ぐ

 私が青葉大学に入学してから、1週間が経とうとしているある火曜日。

 大学の講義が、ラッキーなことに休みになったので、私は夕方、近所のスーパーへ買い物に出かけることにした。

 ちょうどセールの時間帯で、スーパーはとても混んでいた。
 それでも、欲しかった商品を特価で手に入れることのできた私は、上機嫌だった。
 そう、その帰り道。

 視線。

 まただ。
 またあの、嫌な視線。また、見られている。

 さすがに気味が悪い。

 私は、もう1度全力で走ることにした。

 この間と同じで、あの視線が私を追いかけてくることはなかった。



 無事にアパートに到着した私は、自室のカギを開けてから、玄関ポストに何かが入っていることに気づいた。

 それは、茶色い封筒だった。
 私はその封筒と一緒に自室に入り、そばにあったハサミで封を切った。

 中には、手紙のような白い紙が1枚、折りたたまれて入っていた。
 広げると、ワープロで打たれた印刷文字が、紙いっぱいに広がっていた。

 1行目。


『素敵なアパートだね。』
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