雨は君に降り注ぐ
体育館に入ると、斉藤先輩が、女子を1度に10000人くらい滅ぼせそうなキラースマイルで迎えてくれた。
「入会の手続きはしておいたから、2人とも、今日から好きなようにうちのサークルで楽しんでいってくれていいよ。」
そう言ってから、斎藤先輩は後ろを振り返った。
「あ、ちょっと、工藤、こっちこれる?」
「あ、ハイ。」
工藤、と呼ばれたその男の子は、シュート練習していた手を止めると、私たちのほうへと近づいてきた。
「こいつ、工藤颯真。バスケの腕は、僕よりもうまいかもしれない。このサークルの期待のエースだよ。工藤、こちら、新しく入会された1年の小澤さんと吉岡さんだ。」
斎藤先輩に紹介された工藤という人は、少し照れくさそうに首の後ろに手を当てて、頭を下げた。
「2年の工藤です。これからよろしく。」
うん、まあ、当然先輩だよね。
頭を上げた工藤先輩と目が合った。
彼は微笑んだ。
『爽やか』という言葉がよく似合う、すっきりした笑みだった。
この人も、斎藤先輩ほどではないが、相当イケメンだ。
本当に、バスケをやる人って、イケメンが多いんだぁ……。
「うちのサークルは、女子も男子も合同で練習しているから、僕や工藤と関わることも多くなってくると思う。だから、覚えておいてくれると嬉しいな。」
斎藤先輩は柔らかく笑った。
「じゃあ、工藤、吉岡さんに、うちのサークルの活動内容を教えてやってあげて。小澤さんは…マネージャー希望だったよね。うちのマネージャーの活動内容を簡単に教えるから、僕についてきてくれないか。」