雨は君に降り注ぐ

 後悔。

 アパートの自室に入ると、私はすぐさま、ベッドにダイブした。
 枕をたぐり寄せ、それを抱きしめる。

 後悔。

 さっきから、その感情ばかりが、頭の中をぐるぐる回っている。

『君、その子の彼氏か何か?』

 そういった時の、一ノ瀬先輩の、あの意地悪そうな笑み。
 いつもの優しい笑顔からは、想像できないような表情。

 先輩。
 あの時、先輩は、何を思っていたんでしょう?

『私たち、カップルって勘違いされちゃったね。』

 私がそう言った時の、工藤くんの傷ついたような顔。

 その表情は、辛そうで、悲しそうで、見ているこっちが泣きたくなってしまうほど、悲痛な顔だった。

 私の言葉で、工藤くんが傷ついた。

 私が、傷つけた。

 もっと他に、言える言葉があったんじゃないか。

 工藤くんを、傷つけない方法。
 一ノ瀬先輩を、優しい笑みに戻す方法。

 何か、何か、あったんじゃないか。

 そもそも、私が、体育館から飛び出さなきゃよかったんじゃないか。
 そもそも、私が、バスケサークルに入らなければよかったんじゃないか。
 そもそも、私が、私が、私が………。

 キリがない。

 後悔。

 私はもやもやした気持ちを抱えながら、眠りに落ちた。
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