雨は君に降り注ぐ

『ごめん、今日、涼ちゃんと遊園地。』
『また今度、誘って。』

 それって、……デート?

 驚いた。
 理子と涼介先輩の関係は、恐ろしいくらい早いスピードで進んでいるようだ。

 私は、今さっき、今日一緒にどこかへ行かないかと、メールで理子を遊びに誘った。
 すると、1分もたたないうちに、この返信が来た、というわけだ。

 …どうしよう。

 よくよく考えてみると、私に友達と呼べるような人なんて、理子しかいない。
 …工藤くんも友達だけど、異性と2人きりでお出かけなんて、きっと途中で、私が心臓発作を起こす。

 じゃあどうしよう。
 この晴天だ。
 外に出たい。

 結論から言うと、私は、最寄り駅の周りを、ぶらぶら散歩することにした。

 本当は、カラオケとか、映画館とか、いろいろ考えてはいたんだけど、理子が来れなくなってしまった今、1人でそういうところに行くのは、気が引ける。

 まあ、散歩だけでも、充分気分転換にはなるだろう。

 そう思って、私はアパートをあとにした。
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