雨は君に降り注ぐ

 どうしよう。

 歩いているうちに、どんどん不安になっていく。
 でも、止まってしまうと、その不安に飲み込まれてしまいそうで、私は歩き続ける。

 私は、さらに迷っていた。

 ここはどこだろう。
 気のせいか、先ほどの住宅街より、人気がない気がする。

 住宅街は住宅街なのだが、人の気配が全くない。
 なんだか、寂しいところだ。
 まるで、漫画に出てくる、ゴーストタウンのような……。

 本当に、幽霊が出てきそう。
 そのくらい、薄暗い。

 私は、歩調を速めた。
 もはや、どこに向かっているのかさえも分からない。
 方向感覚も無くなっていた。

 私、18にもなって、何やってるんだろ…。

 ポツリ

 私の鼻先に、何か冷たいものが当たった。

 雨。

 降ってきたんだ。
 どうしよう。
 私、傘も持ってない。

 焦る私をよそに、雨はだんだんに足を速める。

 3分もたたないうちに、私の髪は、シャワーを浴びたかのように濡れていた。
 こんなんじゃ、風邪をひいちゃう。

 どこか、雨宿りができそうな所を探さなくちゃ。

 でも、ここは、よく知らない住宅街。
 雨宿りができそうな場所なんて、どこにも……。

 と、私の視線が、誰かをとらえた。
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