雨は君に降り注ぐ

『理子はどうだった?』
『何が?』
『涼介先輩との、遊園地デート。』

 デート。
 その単語を聞いたとたん、理子は、耳まで真っ赤になった。

『や、やだな、そんなんじゃないよっ。』

 理子がそんなに焦るところを、初めて見た。
 なんだか新鮮。

『いやいや、遊園地に異性と遊びに行くとか、完全にデートでしょ。』
『そ、そうかもしれないけどさあ…。』
『で、そうだった?』

 理子は、深呼吸を1つすると、言った。

『…楽しかった。』

 本当に楽しかったんだろうなあ。
 理子の態度1つ1つから、それが感じられる。

『なんかさ、涼ちゃん、エスコートがうまいんだよ。気遣いもうまいし、会話は途切れないし、笑顔はかっこいいし…。』

 聞いているこっちが、恥ずかしくなってしまう。

『涼ちゃんのことを知れば知るほど、胸が締め付けられてさ。』

 理子は、本気で涼介先輩のことが好きなんだ。
 本気で、恋しているんだなあ。

『理子も、頑張んなよ。』

 私は、静かにそう言った。

『お互いにね。』

 理子は、かわいらしい笑顔を見せた。
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