雨は君に降り注ぐ

 大学を出ると、ちょうど日が落ちるころだった。

 時刻は、7時ちょっと前。
 いつの間に、日がこんなに長くなったんだろう。

 時は、私が思うより、ずっと早く流れていく。
 こんな風に、楽しい毎日を送っていく間にも、時はどんどん流れている。

 きっと、あっという間に、7月も終わる。
 この夏が終わって、秋が過ぎて、寒い冬が明けて、また春がやって来る。
 その間に、私はどう成長するんだろう。

 今年が終わって、来年も終わって、大学を卒業して。
 それから、私はどうするんだろう。

 1年後、5年後、10年後の私は、どうしているんだろう。

「これから、メンバー皆で、打ち上げでもやらないか?」

 涼介先輩が、こちらを振り返って言った。

「俺、行きます。」
「全然いいっスよ。」
「どこ行きます?」
「小澤さんと吉岡さんも、どう?」

 涼介先輩が、整った笑顔で訊ねる。

 特に、断る理由もない。
 理子に関しては、聞かれる前から行く気満々だったようだ。

「よし、じゃあ決まり。」

 涼介先輩が、優しく微笑んだ。

「ここからちょっと離れてるんだけど、僕のお気に入りの店があるんだ。」
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