Welcome to the underground〜地下室は私たちのパラダイス〜
「せっ…千年ぐらい早く生まれてたら、結婚できたのになー」
机に突っ伏して、肩を震わせて笑ってる。
なんか、色々酷くない?
「そんなに笑うことないじゃん!」

「お前らー、授業始まってんぞー!」
チャイムがなっても騒がしい教室に、数学の先生が大声をあげながら入ってきた。
あたしたちの会話は途切れて、大慌てで授業の準備をした。



山間を縫って走る電車は、都心から直通で一時間ちょっと。東京へは通勤圏内だけど、何にもない田舎。
伸ちゃんとあたしは、そんな場所で育った。

あたしのお父さんは学生結婚をしたけれど、しばらくして離婚した。あたしがお父さんの実家に預けられたのは2歳の時。
お母さんのことは覚えていない。
看護師だったこと、育児放棄をされたこと、それだけは後で教えてもらった。
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