愛は惜しみなく与う【番外編】
「手…はなしてーや」

「なんで?」

「……恥ずかしいし」

「いいじゃん。そのままちょっと照れといて」


そう言い終わると同時に無防備に隠すこともできない唇に、吸い込まれるようにキスをしてきた。

握られた手に力を入れる


昨日よりもソフトで包み込まれるようなキスに、足の力が抜けそうになる


口が離れて解放されると思いきや、片方のあたしの手を離して、しゃがみ込もうとするあたしの腰に手をやり、無理矢理立たせた


いや、朝からこれは刺激が強すぎませんか?


「んっ…ちょ…と」


言いたいことも伝わらない
泉のアホ!ランニング前に心拍数あげたら意味ないやろ!!


んーんーんー
押さえつけられた腕を振り解こうとジタバタすると、キスしてた泉の口角が上がる。

なによ!


「くっくっくっ」


「は?何わろてんねん!」


こっちは酸欠やねん!!
あたしの手をゆっくり離して、自分の口元を隠すように笑っている泉。
楽しかったんか?


「びっくりするくらい力強くて、キスに途中から集中できなかった」

「な!!失礼な!」


たしかに!なんかバンザイした状態やったし、恥ずかしいから必死やったけどもや!

寝起きだからかな。力負けしそうになったと泉はずっと笑っている。
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