愛は惜しみなく与う【番外編】
「……がと」

ん?あぁ

聞き返さんといてあげるよ。

ありがとうゆうたんやな。


花江先輩の方をチラリと見れば、吹き出しそうになった。
いや、ごめん。あたしこそごめん


「デコピンしたところ、めちゃ赤なってるわ」


笑ってしまった
花江先輩はポケットから急いで鏡を取り出し、おでこを見て…何これ!と声を出した。

女子は鏡持ち歩いてんのか。


「いろいろな意味を込めてのデコピンやし、怨念あったかも」

「女の子の顔にこんな跡残して!」

「すぐ消えるって」

「あなたね!!!」

こわいこわい。怒らんといてよ。
男よりも花江先輩の顔のが怖いわ。


「……怪我してるじゃない」


ん?


「あたしのせいね。ごめんなさい」


男の手が掠った時か、爪でも当たったんかな。少し頬っぺたが切れたらしい。


「2時間あれば塞がるしいいよ」

「化け物じゃない」


花江先輩はそう言って笑った
なんや。もっと鬱陶しいかと思ったけど。別に普通の人やん。


「こんな朝から何してたの?」

「ランニングやけど」

「…あ、そう」

なんやその反応。自ら汗をかきに行く理由が分からないと言われた。
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