愛は惜しみなく与う【番外編】
ほんと、意味がわからない


「お前も食う?てきとーに買ってきたけど」

「へ?」

あたし?


「今から少し時間かかるから、食っとけば?要らないならいいけど」


あたしの分も買ってきてくれたの?
袋をずいっと渡されて、好きなもの選べよと言われた。


あぁ

そうか

そう言う事なんだね


分かってしまった。久しぶりにここに帰ってきて、みんなに言われた事。

烈火の泉くんは、昔と変わったと。
どう言うことか分からなかったけど、今わかったよ。


この女の子が泉くんを変えたんだね


泣きそうになった


昔の泉くんなら、絶対こんなことしない。てゆうか女の子の携帯にGPSつけて、こんな朝っぱらから駆けつけたりしない。

赤の他人のあたしに、ご飯を買ってくれたりしない。

あたしと目を合わせて話したりなんてしない。

一緒にいる人で、こんなに変わるんだね



「ん?それだけでいいのか?」

「ええ、ありがとう」

涙が出そうになるのを堪えて、サンドイッチを、一つもらった。
正直、お腹はすいていた。
急に凰牙の人に呼び出されて、朝から何も食べていなかったから。


「もう一個くらいいる?」

「え、もう大丈夫よ」

「そう?食わなきゃ杏に食われるぞ」
< 136 / 645 >

この作品をシェア

pagetop