愛は惜しみなく与う【番外編】
「「2人で充分」」
そんな心配をよそに、2人はそう言って、タクシー呼ぶか。と電話し出す。
ヤンキーがタクシーってどうなの?
ちょっとリッチすぎない?
泉くんは、バイクをコンビニに停めてくると動かした。
わたしはそれに着いて行く
絶対ついてくるなと言われると思ったのに、泉くんは何も言わずに隣を歩いてくれた。
昔よりも今の泉くんが好きだと思う自分が嫌だ。
あの女が泉くんを優しく変えた。
その泉くんの方が好きだなんて言う自分が…許せない。
「悪かった」
え?
「まだガキだった。今になってあんたにした事がひどい事だと分かる。悪かったよ」
あたしは、何を謝られているの?
あたしは泉くんに、何かされた事なんて、一度もないよ?
「何で謝るの」
「……俺さ、あの子が好きなんだよ。どうしようも無いくらい。人を好きにって初めて分かった。俺に好意を寄せてくれる人の気持ちが」
あ、本格的に振られる
そう思った。
言葉さえくれない泉くんは、誰かを振ることも無かったと思う。
無視をすればいいだけだから。
なのにどうして…向き合ってくれるの