愛は惜しみなく与う【番外編】
泉くんの連絡先なんて知らなかった。

教えてくれなかったから。

どうやって誘ってたって?
それは泉くんが喧嘩する場所へ行っていたから。


あまりにも泉くんは強すぎて、先輩から疎まれていたのは有名な話。
烈火の先輩にリンチされたり、そんなのは普通にあったらしい。

今ではそんなのあり得ない空気だけど、そうじゃなかった時。


喧嘩で…というか、やり返さない泉くんは、ボロボロになっていた。やり返さずにただ耐える。

きっと終わった後、アドレナリンでもでてるんだろう。


わたしはその瞬間を狙ってた。
何とでも言ってちょうだい。本当に見てもらいたくて必死だったの。


ホテルに行ってもわたしの名前さえ知らなかったと思う。
利用されていても、わたしはそれでよかった。

でも会話もない

話してもくれない


ただその瞬間だけは、泉くんの目に映っている気がしたの。


本当に笑えるくらい冷たい人


かっこいい


でも本当に、最低だと思ってた。



街で話しかけた時に、お前誰?と言われたこともあった。何なの、このクソガキって思った。
でも好きだった


結構惚れてた
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