愛は惜しみなく与う【番外編】
「でも、洋服も…あんまないなぁ」

「ふふん!分かってないなぁ!男心をくすぐるなんて簡単だよ?」


そう言って慧に手を引かれて自分の部屋に来た。
同じ服ばっかり使ってるから、どんな服があったか忘れたわ。


「俺さ〜着てないけど、可愛い服があるの知ってるんだ」

「ん?なんで?」

「衣替えの時にみた」


ん?なにそれ。そんな服あったかな?
そう言えば、ちょっとあったかくなって、春服をこの前整理しようとした時に、慧が手伝ってくれたっけ。


「えっと?んーと、杏ちゃんどこにしまったんだろ」

「どんな服?」



「グレー?かなんかのワンピース!あったでしょ?」


……ワンピース?
あったっけ?




「あ!!!それは無しや!!!」


思い出した

ワンピースな


「志木が…関東に来る時に、女の子らしい格好しろって買ってくれたワンピースや。着てないし、まだタグついてるで」


思い出した思い出した


「あれは、無しや」

「えーーー絶対可愛いから!」

「グレーのやつやろ?ほんでなんか、ヒラヒラしてるやつ!ないないない!」
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