愛は惜しみなく与う【番外編】
「正直、なんとも思ったことなかってんけど、泉とすると全然ちゃうくて、好きな人とするんは特別なんやなって思ったよ」


素直に伝えてくれているんだろう。
嬉しいけどちょっと引っかかる言い方しないでほしいけどな?

好きな人とするんは、ってことは、好きじゃないやつとした事があるってことだろ?

ま、俺も会って2回目で、勝手に杏にキスをした身だから、何も言えない。


サトルとかにも、されたって言ってたしな。


はぁ


「もう俺以外ダメだぞ」

「勿論や」


はい。味噌汁!そうどこから持ってきたのか分からない、味噌汁茶碗に味噌汁を注いでくれた。

そのまま特に何を話すわけでもないけど、ゆっくりとした時間が過ぎた。


杏は、つまらなくないんだろうか


自分で言うのもなんだが、俺はそんなに面白い奴ではない。
口数が多いわけではないし、慧みたいに女心が分かるわけでもないし、朔みたいに面白く話せるわけでもない。
新みたいに頭が良いわけでもないし、響みたいに可愛げもない。


できることと言えば、他よりも喧嘩が強いくらい。

だからこうやって2人で一緒に居て、杏を楽しませてやれるか、時々不安になる。
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