愛は惜しみなく与う【番外編】
渾身の力を込めて叫んだ

あたし的には高い声も出した

皐月ちゃんも桜さんも、え?と驚いた顔をしている。


さっき見えてんなー

違う件かただの巡回か知らんけど、お巡りさんがおった。

こんだけデカイ声なら気づくやろ



「この女!!さっさと黙らせろ」

「いやん。か弱いふりしてんにゃし、手出させんといてや」


掴みかかってくる男の手を避けずに、わざと腕を掴ませる。
空いたもう片方の手で、男の首元を全力でチョップ

これで当分、声は出せまい


「きゃーーー離してーー」


ほら、みて、この顔
お前が掴ませて、お前が俺の手を離さないんだろ?と言いたげな顔


よし、ポリ公よ

あとは任せた



「おい、お前達!!彼女から離れろ」


「うわーーーん。旅行できただけやのに。急に怖い人が絡んできた」


遅いな、警察のくせに。
さっさととっ捕まえんかい!!

バタバタと二人組の警官が駆け寄り、あたしと男の間に入った。


はたから見たら、男があたしの手を掴んで引っ張ってる。

実際は男が掴んできた腕をあたしはガッツリ掴んで、喉仏に一髪入れた。

抵抗するふりしてね
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