愛は惜しみなく与う【番外編】
謎が深まるばかりだよ


結局杏ちゃんは店員さんに試着室へ連行されていた。


ふぅ


「杏ちゃんって、不思議だよね」

「本当にね。男慣れしてるのかと思えば、全然違うし。慧くんから聞いてる限り、ラブラブらしいけどね」

「うん。あたしも新からはそう聞いてる。蕪木先輩の杏ちゃんを見る目が、さらに優しくなったって」

「喧嘩のことになると一気にスイッチはいるよね。日頃は無邪気な女の子なんだけど。昼の公園でも思ったけどさ?雰囲気が変わる」


女のあたし達でも、そのギャップにやられそうになる。真剣な顔をして1番に誰かを守ろうとする杏ちゃんには、ドキッとさせられる。

トラブルにならなかったからよかったけど。杏ちゃんは慣れてるんだね。
顔色ひとつ変えなかったから。



「3つとも買うわ」


少し疲れた顔をした杏ちゃんが試着したから出てきた。


「今思えば、志木が買ってくれた下着つけてるって考えると、気持ち悪くなってきた」


あのストーカーめ!!
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