愛は惜しみなく与う【番外編】
きゃっきゃと楽しそうに前を歩く二人


あたしは後ろからぼーっと眺めていると、杏ちゃんがものすごい勢いで左側振り返った。


「どうかした?」


杏ちゃんの視線の先を見てみるが、特に何もない。どうかしたのかな。


「……いや、なんでもない」


その時見せた表情は、あのスイッチが入った後の杏ちゃんの顔だった。

何か、あったね


「道わからんし、先歩いて」


杏ちゃんはあたしと桜さんを前に歩かせて、その後ろをピタッとくっついて歩いた。


桜さんも少し不思議に思ったのか後ろを振り返っている。


誰かいたのかな


杏ちゃんはデパートを出ようと言った。もう買いたいものも全て買えたから、それに頷く。


「先にホテルにチェックインしちゃう?」

「そうだね。荷物も重たいし」

「せやな。ホテルってどこやっけ?」

「地図送るね」


杏ちゃんに地図を送ると、じーっとそのマップを見ている。
その時、杏ちゃんの携帯が鳴った


「…?でていい?」

「うん、いいよ」


誰だろう。少し携帯の画面を見て驚いていたように思えた。
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