愛は惜しみなく与う【番外編】
「き、傷が…!!!!!」


頬っぺたに何かが掠ったような傷ができて、血がでていたのか薄っすら赤くなっている。


「え?あたし?」


杏ちゃんは自覚がないのか携帯を覗き込んで、そこに映る傷を見て一言


「寝たら治る」


………


「「1日で治るわけないでしょ!!!!」」


桜さんとあたしに怒られたのは言うまでもない。杏ちゃんは一発も貰ってないもん。褒めてよーと泣き真似をしていた。

いや、ちがうよ

自分の爪が当たったんやろと言っていたけど…



「泉くんに殺される」


そう、それよ

杏ちゃんが怪我したなんて知られたら…



慌てふためくあたし達を見て杏ちゃんは呑気に笑っていた。


「こんなんしょっちゅうや!まじですぐ治るから!」

「あのね、杏はね、細胞がおかしいのよ。安心して。本当にすぐ治るから」


美奈子の言い方は、あたしがバケモンみたいに聞こえるやん。と肩を尖らして拗ねている。
細胞から強いの?

でも、関西で大怪我した時も、全治3ヶ月のところ、1ヶ月で怪我を治してリハビリを重点的にしていたと聞いた。
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