愛は惜しみなく与う【番外編】
でも大丈夫


"手を見せて"

「手?」

泉に言われるまま手を見せると逆だと言われた。手の甲?

あ…

殴ったりしたら傷つくからな


"ほら。ちょっと擦りむいてる。汚いもん殴るな"


汚い…は失礼やけど、まぁ綺麗なものでもないか。
そのあとすぐ怪我を手当てしろと煩いから頷いた。怪我って怪我ちゃうのにね。


" すぐに会えない距離に居ると、不安だ "


……そっ、か
すぐに会えない距離

少し考えてしまった


この先の進路のことを


泉がわざわざ関西に来ることはない。関東の方が仕事も多いし、何かと融通が効く。こっちの知り合いも友達も多いから。

あたしは関西が地元やし、帰る選択肢もあって…


すぐに会えない距離は不安、か


少し胸が痛んだ


まだ決めてないけどさ


あたしが関西に戻るって言ったら、泉を不安にさせてしまうんかな。


何かあってもすぐに駆けつけられない。だからさっさと帰ってこいと、優しく泉は言ってくれた。


優しさなのに、なぜか泣きたくなった。


未来のことを考えれるのは嬉しいはずやなにな。少し、苦しいな。
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