愛は惜しみなく与う【番外編】
「話したかったんだろ?普通に特に意味はない。ただまぁ…あんな感じで終わるつもりはなかったから。今の段階で杏に会わせることは出来ないから、お前の言葉は俺が聞く」


正直終わり方なんてどうでもよかった。
杏さえ解放されるならそれでよかった。

ただ…よくわからなくなった

同情した訳ではない

ただ環境が、不憫だなと思っただけ。


その分俺は恵まれているなと思った。


俺がもしサトルの立場なら俺はどうしてただろうって、考えたりもした。

あんな風に終わらせるつもりはなかったんだ。



「杏は……元気か」


第一声

そうだよな

歪んでいたとはいえ、サトルは杏が好きだったんだもんな。



「スコーピオンの奴らは全員捕まった。何も情報が入らなくなってしまった。あのクソ執事は杏の話は一切しない」


なるほどな。志木さんらしいよ
意地でも杏の話はしないつもりだろう。でも俺は少し話したいから、してしまうけど。許してくれよな



「杏は生きているよな?」



……そうか。そこからか
あの後救急車で運ばれ、サトルはパトカーに乗り、それ以降一切接触はないもんな。



「ちゃんと生きてるよ。怪我も治った」
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