愛は惜しみなく与う【番外編】
それさえも知らなかったのか。再確認して安心したかったのか。あの事件から半年経っている。志木さんも教えてやればいいのに。


「そう、か。よかった」


そう言ってサトルは頭を抱えた


やばいな。なんかわからないけど込み上げてくるものがある。
そんなに関わったわけでも話したわけでもないんだけどな。



「全治3ヶ月だった。太腿の骨折と頭を何針も縫った傷がなかなか治らなかったみたい。けどまぁ3ヶ月+リハビリって言われてたけど、1ヶ月とリハビリ1ヶ月で治してたよ」


ほんと、なんか自己再生でもしてるのか?ってくらいの治りのスピード。
この前女子旅だと言ってつけてきた頬の傷も2回寝れば消えた。

なんなんだろうな


「バケモノじゃん」


そう言うサトルは笑っていた


で、話したいことは?そう聞こうと思ってたけどやめておく。
きっと何か話したいわけではないんだろう。

俺から、杏の話を聞きたかったんだな。


「関東にいるのか?」

「あぁ。北蓮見を卒業するよ。あとは…」


きっと杏の話をしても、杏は怒らないと思う。会ってきたって言うつもりだから。

杏が言いたいことも代わりに伝えるよ
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