愛は惜しみなく与う【番外編】
そうだな
もっと、周りに教えてくれる人がいたらな。

杏だってきっと

サトルと普通に出会っていたなら

杏は迷いもなく手を差し伸べてくれたと思うよ



「傷つけて悪かった。杏が無事だと知れてよかった。スコーピオンとしてやったことを反省してるかと問われれば分からない。だけど、お前たちに手を出して杏を傷つけたことは後悔してる」


「……俺はお前と話したことを、杏に伝えるよ」


「…あぁ、好きにしろ」


「そうじゃなくて。伝えたいことがあるなら伝えてやれるから。何かあるなら聞く」


きっと俺は杏と似ている。
自分の傷を隠すように、人を守ってきた。

そうすれば自分も守られた気になるから。


俺はサトルに出会ってたら


もっと前に出会ってたら


どうしてただろうな



どんなふうな関係になってただろうな




「蕪木」


「ん?」



「杏を…幸せにしてやって」



願わくば

関わった全ての人たちが


前を向いて歩けますように



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