愛は惜しみなく与う【番外編】
ふぅ。そう一息ついて紅茶を飲む杏さん



「何も見ないように閉じこもってたあたしに真剣に向き合って助けてくれて、クソみたいな環境をぶち壊してくれた。それであたしは、あたしらしく居れるようになった。自分のこと好きになった。

自分のことが好きになったら……泉のことが好きって気がついた。


自分も愛せへんやつが、他人を愛せるわけないからな」


……何も言えなかった
あたしはきっと誰のことも
ちゃんと好きになれたことはない


「もし朔のことがほんまに好きなら、朔のことも助けてやって」

「……?」



「朔はアホやし、常にアホやし、発言も行動もアホやけど」


アホしか言ってないよ……?


「いっぱい悩んで苦しんできた子やから。上辺だけでは見んといてあげて。朔のくせに、しんどい時に明るく振る舞うのが上手やねん。朔のくせにな。せやからまぁ…そうやな。

朔が心から笑える場所が、他にもできたらええなとあたしは思うよ」


杏さんの言葉はあたたかくて


涙が出そうになった


どうしてかわからないけど


心に響いた
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