愛は惜しみなく与う【番外編】
「杏さんが…朔くんのそういう場所になってあげることは考えなかったんですか?」


だって朔くんは

この人が好きだったんでしょ?



「朔もあたしも、悲しいことがあっても、笑って誤魔化してしまうタイプやから。きっと寄り添うことはできても、お互いを引っ張り上げることはできひん。朔とあたしはよく似てると思う。やからお互い泉に懐いたんやろな」


……よくわからない
寄り添えるだけじゃダメなのかな


「あたし、甘えたいねん」

「……はい?」


「初めて彼氏ができてよくわかったんやけど、あたしの人生って、甘やかされてきて、沢山の人を甘やかしてきたけど、自分で誰かに甘えることってしたことなくて。

朔も烈火のみんなも泉も同じように大好きやのに、なんで泉の好きは違うんやろって考えた時に

あぁ、あたしは泉になら、自分から甘えられるんやって思った。

あたしにとって泉はそこが特別やった。だから美波ちゃんも、朔の特別になれるように頑張って」



あたしはきっと朔くんの中で今は特別じゃない。

昔遊んでた女の子の中の一人

ただそれだけなんだと思う
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