愛は惜しみなく与う【番外編】
その男の人は、職場の上司やったらしく、あの事件の後、ずっとお見舞いにも来てくれて、精神的に支えてくれたと。

その人の地元に行くらしい


「大野さんは回復したけど、息子さんに会う勇気を持てなかったんだ。嫌われていると……思っている」


「……そうなんや」


まぁ自信なくすよな
あんな別れ方したら、あたしも嫌われてると思うやろし、どんな顔して会えばいいかわからへんと思う。

でも


「朔はすんごいええ子やから」


あの小さな頃に
誰かを守りたいと思える強い子やから



「明日、時間ください。このままお別れなんてさせたくない」



もしかしたら朔のお母さんの心を再び病ませてしまうかもしれへん。また思い出させて苦しい思いをさせてしまうかもしれへん。


でも、あたしは朔の友達やから



朔のあの時絞り出して呟いた


お母さんに会いたい 


その言葉を叶えてあげられるなら叶えてあげたいから。



「素敵なお友達がいて安心しました。大野さんには理由は言いませんが、明日少し時間を取ってもらいます。私達からもよろしくお願いします」


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