愛は惜しみなく与う【番外編】
そう言って涙を流した
やばいな
あたしこれ、ちゃんと聴けるかな
「息子はとても強くてかっこいい子なんです。なのに私は、その小さな手を取る事ができなかった。元夫が息子を怒鳴るときに、自分の周りが静かなことに気がついた。息子が泣いているのに、怖くて助けられなかった。
悔しくて今でも手が震えます。
そして私はとうとう心を病んだ。自分でもおかしいとは思うのに、ある日突然、昔に戻ったような気がしたんです。
夫の暴力が始まったのは息子が生まれてから。息子が生まれる前に戻れたらなんて、最低なことを思った。そして私は……
息子を見ないようにした
視界に入れず、昔のように、付き合いたてのように振る舞った。自分を殺して、上辺の自分が出来上がり、殴られないように振る舞った。
息子は
泣かずに
ただじっと黙って
偽りの夫婦を演じる私たちをみて、微笑んでいた。
きっとあの子は優しいから……私が殴られないようになってよかったと思ってたはず。優しいから……うぅ…」
周りの人たちが朔のお母さんを支えるような仕草で近づく。
こりゃ…まいったな
やばいな
あたしこれ、ちゃんと聴けるかな
「息子はとても強くてかっこいい子なんです。なのに私は、その小さな手を取る事ができなかった。元夫が息子を怒鳴るときに、自分の周りが静かなことに気がついた。息子が泣いているのに、怖くて助けられなかった。
悔しくて今でも手が震えます。
そして私はとうとう心を病んだ。自分でもおかしいとは思うのに、ある日突然、昔に戻ったような気がしたんです。
夫の暴力が始まったのは息子が生まれてから。息子が生まれる前に戻れたらなんて、最低なことを思った。そして私は……
息子を見ないようにした
視界に入れず、昔のように、付き合いたてのように振る舞った。自分を殺して、上辺の自分が出来上がり、殴られないように振る舞った。
息子は
泣かずに
ただじっと黙って
偽りの夫婦を演じる私たちをみて、微笑んでいた。
きっとあの子は優しいから……私が殴られないようになってよかったと思ってたはず。優しいから……うぅ…」
周りの人たちが朔のお母さんを支えるような仕草で近づく。
こりゃ…まいったな