愛は惜しみなく与う【番外編】
叱ってやりたい気持ちもあるよ。でもこの人はきっとずっと悔やんで生きて来たんや


悪くないとは言えないけど


この人も被害者や


朔……


「息子に会えるなら、会いたい?」


気づけば口に出していた

この話が終わったら話しかけるつもりやった。でもちょっと、抑えられへんかったんや。


「………貴方は?」


「あたしも母親に居ないものとして扱われた事がある。苦しくて生きてるのも嫌になって……誰かに気づいて欲しくてやんちゃばっかりした。どんだけ大切な人ができて、どんだけ愛してくれる人がいても……


やっぱり母親から存在を認めて欲しかった」


実体験や
恵まれた環境やった。友達もいっぱいできて、慕ってくれる人も多くて。

やけど、ぽっかり空いてしまった穴は


お母様でしか埋められなかった。



「あたしはそれでも母親を嫌いにならへんかった。生まれたその瞬間は愛されてたと思うから。ただ認めて欲しいだけ。愛せとは言わん。生きてることを、何か頑張ってることを知って欲しいだけやねん。

10年以上拗らせたけど、最近母親と仲直りした。そしたらあたしのぽっかり空いた穴は塞がった。母親で空いた穴は、母親でしか埋められへんねん。ちゃんと目を見て話してくれるだけで、自分に価値があるように思った。
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