愛は惜しみなく与う【番外編】
「朔の気持ちがわかるからさ。あと朔にひとつも傷ついて欲しく無いから……それなりに先に話して来たよ」


きっと朔のお母さんに、あたしの言葉は届いたと思う

届いたならあとは


2人で話して
たくさん話して


「さてと。そこで座ってるか」

「せやな」


施設前のベンチに腰をかけて

特に何も話さずただ空を見上げる


そしてふと思った


「泉のお母さんは…?」


今まで聞いてなかった。
ぱぱちんの話で持ちきりやったけど。


「あー母親な。いるよ?その辺に。すごく変わった人だから…でも杏とは気が合いそう」


びっくりした。亡くなったとかやったらどうしようかと思った。


「ぱぱちんと一緒に住んでないの?」

「そうだな。久しく一緒のところ見てないな。まぁ今は海外にいると思う。何年かしたら帰ってくるんじゃね?」

……ほえ?


「何してる人?」

「自由人」


泉はそう笑った

クセのありそうなオカンやなぁ


そして朔を待つ間、泉は自分のお母さんの話をあたしにしてくれた。

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